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それでも世界は続いていく②

ミンサガグレクロ皇女クローディアの話
私なんてただのカプ厨なんだから、文才もないんだから、メイン二人がイチャコラしてる様子だけ書けばいいと思うんですけどね。なんか色々書こうとしてかえって頭の悪さを露呈してるよね。







二、これからのために



ああ、本当に、自分には城主としての自覚が足りていない。こんなことでは亡くなった父と母に顔向けができない。
クローディア皇女との会談には、自分がローザリア王国とバファル帝国との橋渡しになるという重大な責務を伴うものだというのに、どうにも心が浮き立ってしまっている。旧友との再会を待ち望む気持ちが抑えきれない。
彼はうろうろと室内を歩きまわり、思いを断ち切ったかのように首をぶるぶると振る。しかし数分経つとその決心も揺らいでしまい、また落ち着きなく歩きだしてしまう。

ローザリア王国とバファル帝国の国境に位置する荒涼とした土地、イスマス。ローザリア王国の要所を守るイスマス城主の後継者として、アルベルトは生まれた。彼は厳格だが愛情深い父ルドルフと、温かな優しさに満ちた母マリア、そして尊敬すべき姉ディアナに慈しまれ平和に暮らしていた。しかしその生活を、突然のモンスターの襲撃により壊されてしまった。まだ剣士として未熟だった彼は、姉に逃がされてどうにか生き延びたが、帰る場所と家族を失った。その後世界をさまよううちに、同じく故郷を離れ旅をするクローディアと出会い、共に行動することとなった。そのとき彼は、クローディアが帝国の皇女であるということを知らなかったが、どことなく漂う気品と意思の強さを好ましく思っていた。それは彼女を異性として、恋の相手としてではなく、人の上に立つ資格を持つ者としてだったが。
苦難の果てに邪神サルーインを倒した直後は、人々を守ることができたという充実感も大きかった。しかし人々に祝福され時を過ごすうちに、これから自分がどう生きていくかという問題が深く影を落とすようになった。邪神を倒すという使命は果たした。それでは、次は何を?
悩める彼に道を示したのも、クローディアだった。今思い返せば情けないことだが、これからどうすればいいのかの参考にするために、彼女の今後について尋ねたのだ。
その時のクローディアの曇りない瞳を、今でも鮮明に思い出せる。

「私は、帝国の皇女であることと向き合って生きるの。運命と戦うのよ。」

その言葉を聞いて、アルベルトは決意した。イスマスは死んでいない。父が治めていた頃のようにまた、二つの強大な国の境としての役割を果たせる。
アルベルトにはその時、一つの思いが生まれた。もし邪神復活という危機に瀕したあの時、前もって国の統治者たちが奢らず謙虚に、各国との連携を強めてさえいれば。モンスター軍が湧いたフロンティアや、あわや壊滅しかけたクジャラートに一刻も早く援軍を出せていたら。結果としてサルーインを倒すことはできたが、もっと被害を抑えられたのではないか。
理想の実現のためにまずはイスマスを、長きにわたり対立してきたローザリア王国とバファルの橋渡しとして産み直さなければならない。これまでの冷戦状態の前線としてではなく、平和の象徴として。
ローザリア王国の皇太子ナイトハルトと、ナイトハルトの婚約者でありイスマス襲撃以来生き別れになっていたディアナの協力もあり、イスマスは人が住み着きこれまで以上の活気ある土地となった。ゆくゆくは二国間の関所となり、貿易と文化の交わる場所となっていくだろう。
今日はそのための協定を詰める、重大な会談だというのに。

こんこん、と硬質な音が響いた。アルベルトは驚き飛び退り、すぐに奥の椅子に掛けた。
「入りなさい。」
自分でも恥ずかしくなるような、ひどく上ずった声で言うと、召使が恭しく扉を開く。
「アルベルト様、クローディア皇女と側近のジャン様が参りました。」
「お通ししなさい。」
「かしこまりました。」
口をつく言葉もしどろもどろで、でなんだか不自然だ。深呼吸をしてどうにかいつもの調子を取り戻そうとしていたのに、それも邪魔されてしまった。
「アルベルト様!お久しぶりです!」
ジャンが扉を勢いよく開けて、ずかずかと入り込んで来たのだ。その行動に度肝を抜かれたが、懐かしい彼の気易さが、アルベルトの余計な緊張をほどいてくれた。
「ジャン。」
続いてクローディアが部屋へ足を踏み入れた。シンプルな深緑のドレスを纏い、早くも女帝としての風格あるたち振る舞いだが、落ち着きない彼を静かに咎める様子は昔と変わらない。
「お越しいただいてありがとうございます。…本当に、また会えてよかった。」
アルベルトは、言いながら二人と固く握手を交わした。

会談はローザリア王国とバファル帝国二国間だけにとどまらなかった。国交が途絶えて久しいクジャラート国や、まだ再会を果たしていない仲間の住むドライランドにまで及んだ。
「ドライランドには以前からローザリア王国の保護下にはいるように、ナイトハルト殿下が打診していましたが…やはり対等な立場で話しあわないとならない時期が来ているのでしょう。」
「それもいずれ実現できるわ。向こうにはアイシャがいるもの、以前よりはずっと話を進めやすいと思う。」
ドライランドに住む遊牧民族の長の孫娘アイシャも、アルベルトやクローディア達と同じくサルーイン討伐の英雄だ。彼女はまだまだ幼いが、旅を通じて村の外を知り、人々が人種を超えて協力し合えることを知った。いずれ二人のように架け橋となれるだろう。
体は小さくとも好奇心と勇気のある彼女の存在は、今でもアルベルトの灯台となって前へ進めてくれる。そして、今も時々文通をする大切な友人でもある。
「アイシャも私たちと会いたいと、手紙をもらいました。ただ、公式な場に着ていくドレスがないと嘆いていましたが…」
男子顔負けの腕前で馬を乗りこなしていた彼女が、一人前の女性のようなことを思うようになるとは。アルベルトの口元に自然と笑みが浮かぶ。その笑みはクローディアとジャンにも伝播した。
「アイシャさんは将来有望な美人ですからね、貴婦人のように着飾った姿も見てみたい!」
「あなたが言うとなんだか嫌な感じがするわね。」
「そんな!」
クローディアの脇で必死に弁明するジャンを尻目に、クローディアは言葉をつづけた。
「それなら、私のドレスを貸してあげたいわ。…母が生前、私に着せるために子供用の衣装をたくさん用意していたのよ。」
「お手すきの時にでも、アイシャを招待してあげてください。アイシャはあなたのことを本当の姉のように慕っていました。きっと喜んでもらえると思います。」

そう和やかに話をしながら、アルベルトは頭の片隅で別のことを考え始めていた。
サルーインを倒した五人の英雄、その最後の一人。冒険者グレイのことだ。
彼はアルベルトが同行する前からクローディアとともに旅をしており、彼女を政敵であるローバーン公派から守っていたらしい。彼は冒険家として、また剣士として卓越した技術を持つが、ひどく無口で深く人と関わろうとしない人物だった。しかしアルベルトが剣の稽古をつけてくれるように志願すると、師となって多くのことを教えてくれた。自分の目的のためには手段を選ばない冷静さはあるが、心の底から情がない人間ではないように見受けられる。
しかし、彼はサルーインを倒した後、クローディア以外には挨拶もなしに忽然と姿を消してしまった。最初は、各国の人々が邪神討伐の労をねぎらうために設けた宴会に参加したくなくて、姿を隠しただけだと思っていた。その時は浮かれた集まりを嫌う彼らしい行動だ、と思い深く追求したりもしなかった。しかし祝賀会が終わって、後片付けが済んでもグレイは戻ってこなかったのだ。祭りの後になってようやく、彼とはもう今生の別れとなったのかもしれないと思い知らされた。
彼は最後にクローディアと何を話していたのだろう。そして今はどこにいて、何をしているのだろう。
それらの疑問は、彼女に聞けば大体わかることだと思う。グレイとクローディアとの間には、どことなく恋人のような雰囲気があった。二人が実際に抱き合ったりしているところを見たり、仲について公言されたわけではないが、なんとなくそう思うのだ。しかしアルベルトは彼女に問いただしたりしなかった。二人を腫れもののように扱っているわけではない。あの二人だからこそ触れないでおきたい、みだりに土足で踏み込まないでいたいと思うのだ。

「それでは、御足労いただきありがとうございました。お帰りもお気をつけて。」
「ええ、また会う時まで。」
「それではアルベルト様、お元気で!」

そうして三人の、つかの間の穏やかな時は終わった。
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寺島ロシカ

Author:寺島ロシカ
テイルズオブデスティニー2(ジュハロ)、ロマンシングサガ・ミンストレルソング(グレクロ)、ドラッグオンドラグーン2(ノウェエリ)、ブレスオブファイア5(リュウリン)とかそんな話ばっかり。
鳥海浩輔さん、千葉一伸さん、皆口裕子さんの三柱神を崇め奉る。

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